はじめに
個人投資家の方で、下記のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
「決算をまたいで株を保有したいが、発表後に暴落したらどうしよう…」
「決算をまたぐ前に株を売却したいが、高騰したら買い戻せるだろうか…」
「企業の実力や将来性はどうやって計れば良いの?」
この記事では、決算をまたいで株を保有するべきかどうかの解説や、企業の実力や将来性を図る上でおすすめの広報(IR)資料も紹介しています。是非とも参考にしていただけたら幸いです。
目次
決算をまたいで株を保有するべきなのか?
短期売買は決算またぎを避けるべき
中長期売買は決算またぎをして株を保有するのもアリ
決算またぎはギャンブル要素が強い
予測不能な値動きをしやすい
決算により事実が反映される
来期以降の業績見通しでも大きく変動しやすい
中長期保有したい投資先を選ぶためにおすすめのIR資料
-有価証券報告書
-中期経営計画
-決算説明会資料
-統合報告書
非財務情報が載っている統合報告書に注目
決算直後ではなく決算前で売買の判断をしよう!
決算をまたいで株を保有するべきなのか?
決算をまたいで株を保有するべきかどうかは、投資スタイルによって変わってきます。デイトレードといった短期売買の場合は、決算またぎを避けるべきでしょう。中長期売買の場合だと、決算またぎするのもアリです。
- 短期売買→決算またぎは避ける
- 中長期売買→決算またぎはアリ
詳しくは次項以降で説明していきましょう。
短期売買は決算またぎを避けるべき
そもそも短期売買は、中長期での株の保有を目的としていません。なぜなら、短期間で売り買いを繰り返すことで、株価変動のリスクを回避して利益をコツコツと積み重ねていく手法だからです。
決算発表が近くなったり、業績予想の修正が発表されたりすると、株価が大きく変動するリスクもあります。
短期売買をしているのであれば、そもそも決算発表日が近い銘柄を購入すること自体おすすめしません。どう株価が転ぶか全く分からないからです。
中長期売買は決算またぎをして株を保有するのもアリ
中長期売買の場合は、決算をまたいで株を保有するのもアリです。判断としては、決算に囚われないことが大切です。
決算発表前に上昇トレンドであれば決算またぎをする、下降トレンドであれば売却する、といつも通りのやり方で考えれば良いのです。
好業績が期待できる企業は、決算前には株価が上昇しています。もちろん、決算発表によって株価が下がってしまうケースもあるでしょう。
しかし仮に決算前に売却したとして、好業績で株価が急騰したとなると買い直すのは難しいです。だとしたら長い目で見て、決算またぎをする方がよっぽど良い判断だと言えるでしょう。
多少の損失を覚悟する気持ちの強さも大切です。
決算またぎはギャンブル要素が強い
決算またぎ自体はギャンブル要素が非常に強いです。その理由として下記の3つが挙げられます。
- 予測不能な値動きをしやすい
- 決算により事実が反映される
- 来期以降の業績見通しでも大きく変動しやすい
1つずつ見ていきましょう。
予測不能な値動きをしやすい
株価は決算に限らず予測不能な動きをよくします。好決算であっても売られたりしますし、決算が悪いのに株価が高騰したりもします。
また決算シーズンは、好決算でも売られる傾向にあるのです。なぜなら、より好決算の企業に資金が流れていくからです。
決算は数字だけで判断する訳ではないので、どう転ぶかは予測不可能でもあります。これらの理由から、決算またぎはギャンブル要素が強いといったイメージが定着しているのです。
決算により事実が反映される
株価は将来的な期待込みで反映されています。企業の将来を信じて投資している投資家も多いです。
しかし、決算が発表されると「数字」という事実が反映されます。決算が発表されるに伴い、期待ではなく事実として株価が大きく変動していくのです。
もちろん、決算が良かったから株価が上がる、悪かったから株価が下がる、といった単純な動きとは限りません。だからこそ、投資のプロでも完全な動きを予測するのは不可能なのです。
来期以降の業績見通しでも大きく変動しやすい
第四四半期決算では、来期以降の見通しを発表する企業も多いです。
「今期は先行投資をして赤字だったが、来期以降は黒字を見込める」という企業もありますし、「今期は大幅な黒字だったので、来期は利益の大部分を設備投資などに費やす」といった企業など見通しは様々です。
ベンチャー企業の場合は、利益を投資に使うといった企業も多く、株価の大暴落につながるケースも多々見受けられます。第四四半期決算はリスクがとても高くなるため、ギャンブル要素も強くなってしまいます。
中長期保有したい投資先を選ぶためにおすすめのIR資料
投資する企業を選ぶ上で、企業の実力を見極めることは大切です。中長期的に見て成長性を探るには、決算短信などの広報(IR)資料が手掛かりとなります。
ここからは決算短信以外で、企業の分析に役立つIR資料を紹介していきますので、是非とも参考にしてください。
- 有価証券報告書
- 中期経営計画
- 決算説明会資料
- 統合報告書
1つずつ見ていきましょう。
有価証券報告書
有価証券報告書は有報とも呼ばれ、企業分析に欠かせない開示資料です。まずIR資料で把握するべきは、有価証券報告書といっても過言ではありません。
財務諸表の詳細や企業のリスク情報が掲載されており、速報性を重視した決算短信に載っていない情報も多くあります。
事業年度(決算月)が終了してから3ヶ月以内に提出する必要があり、金融庁のサイトで閲覧可能です。年1回開示されます。
中期経営計画
中期経営計画は3~5年に1度発行されるのが一般的であり、中期的な経営方針を掴むのに最適です。具体的には、3~5年後の業績目標や事業戦略、株主還元策などが記載されています。
実際の業績進捗に対して、中計の目標値がかけ離れていないか確認することも大切です。
決算説明会資料
決算説明会資料とは、企業が決算時に公表する資料です。企業の業績傾向をチェックする上で欠かせません。
他の資料と異なる大きなポイントは、四半期ごとに資料が発表されるため、よりタイムリーに対象企業の状況が把握できます。
決算短信の内容を、グラフを使って分かりやすく説明してくれているので、業績状態もスムーズに把握しやすいです。
説明会はアナリストや運営担当者を対象としたケースが多いですが、資料自体は企業のホームページから閲覧できます。
統合報告書
統合報告書とは、企業が独自に公表している報告書です。統合報告書を見ることは、企業の成長戦略や持続可能性を見極めるポイントになります。
ただ、統合報告書に開示義務はなく、開示していない企業もあります。財務情報以外に、非財務情報の内容が充実している可能性もあり、有価証券報告書と並んで注目を集める報告書です。
統合報告書は企業のホームページから閲覧可能です。
非財務情報が載っている統合報告書に注目
統合報告書には非財務情報でもある、ESG(環境・社会・企業統治)について載せている企業も少なくありません。他には環境問題への取り組みや、女性管理職の比率などを載せている企業もあります。
気になる企業が統合報告書を開示している場合は、必ず目を通しておきましょう。どんな内容を載せているのか、充実度といった面は企業によって異なりますので留意しておきましょう。
決算直後ではなく決算前で売買の判断をしよう!
決算またぎにおいて、判断の目安を決算の発表直後ではなく、決算前に焦点を当てると上手くいきやすくなるでしょう。
普段通りの上昇トレンド・下降トレンドを基準に売買することが大切です。とはいうものの、決算またぎはギャンブル要素が強くもあります。
損失を恐れない気持ち、長い目で株の保有を考えることも重要です。ぜひとも、この記事を参考にした上で、決算またぎの判断をしていただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。