この動画の概要
「会社を成長させていくには、優秀な経営陣の存在が不可欠です」
いきなりですが、この投稿では、多くの優秀な経営陣がいるかどうか、ということだけに着目して、具体的な個別銘柄をご紹介していきたいと思います。
実は、この特集は第2回目になります。
第1回目をまだご覧になっていない方は、下記にリンクを貼りましたので、是非あわせてご覧ください。
目次
「優秀な経営陣」と「株価」の相関は高い
M&Aアドバイザーやファンドで有名な経営者、佐山展生さんは「企業は経営者次第で90%決まってくる」ということを常々おっしゃっています。
これまで数多の経営者を見てきている佐山さんだからこそ、体感として投資をする上で最重要視する指標の1つとして考えているようです。
成長している企業の株価
今回、企業が成長しているかを測る上で、注目したのは下記3点です。
- ①時価総額(公開時点)
上場直前に、この価格で株を売り出すと決めた時の株価 × 株式数 - ②時価総額(初値時点)
上場後、最初についた株価 × 株式数 - ③時価総額(現在時点)
2021年7月20日時点の終値の株価 × 株式数
どれだけ成長したかをみるときに③(現在)÷②(初値)と今回は③(現在)÷①(公開時)も算出して見ていきたいと思います。
なぜかというと、初値というのは銘柄のサイズによってだいぶ変わり、調達する資金が小さいと需給バランスで急騰しやすい傾向にあります。つまり初値だけだとミスリードが起きてしまうことがあります。
この記事での優秀な経営陣の定義
優秀な経営陣を定義する上で、切り口は大きく4つあると考えています。
①経歴
②実績
③資格
④学歴
今回はあえて「①経歴」のみに絞りたいと思います。
本来であれば「②実績」がビジネス上の結果という意味では、本来最も優秀な経営陣の定義になります。
しかしながら、外からは実績が見えずらい、どれだけその結果に関与しているかが分かりにくい、他の経営者と相対的な比較ができないことから、②は難しいと考えました。
また、③や④も重要な要素ではありますが、あくまでビジネス上の観点として、①に絞ります。
経歴としての会社を以下にピックアップしましたが、こういう会社に働いていたら、100人中90人は優秀と言えるような会社になります。
戦略コンサルティング | ・マッキンゼー ・カーニー ・ボストンコンサルティング ・ローランドベルガー ・ベインアンドカンパニー |
外資系金融機関 | ・ゴールドマンサックス ・UBS ・モルガンスタンレー ・クレディスイス ・メリルリンチ |
プライベート エクイティ(PE)ファンド |
・ベインキャピタル ・ユニゾンキャピタル ・カーライル ・インテグラル ・アドバンテッジパートナーズ |
GAFA | ・Google ・Amazon ・Facebook ・Apple |
今回マザーズ上場企業の経営陣の経歴を調べました!
※基本、執行役員以上
※一部上場企業も若干含みます
具体的な企業紹介
ロードスターキャピタル
事業内容
ロードスターキャピタルは不動産事業を営んでおりまして、大きく4つ事業が分かれております。フィンテック関係のクラウドファンディングの事業、後不動産投資領域として3つあります。
経営陣
ロードスターキャピタルは代表の方含めて、ゴールドマンサックスの出身者が、なんと4名もいます。
不動産関係ということもあって、ゴールドマンサックスのグループ会社であるゴールドマンサックスリアルティージャパンという不動産関連の分社があって4名ともそこで勤務していました。
不動産関係ではかなり専門の方が揃っているという形になります。
合わせて、モルガンスタンレー、jpモルガンでも勤務していた方もいます。とにかくプロフェッショナルの方が経営陣にいます。
ここまで外資系金融機関出身者を集めているマザーズ企業は他にはないと思います。
業績
21年の12月期は売上利益ともに順調に伸びています。特に利益面が顕著です。
3ヶ月毎の推移を見ますと、売上は少し伸び悩んでいて、直近2021年の1月から3月期は前年同期比のマイナス25%で12億円となっていますが、他は順調に推移しています。
売り上げの伸びの鈍化がちょっと気になるところですが、通期での見通しは前年比でプラス9.3%の185億円になると見込んでおり、増収増益の予定をしております。
EduLab
事業内容
次世代教育むけにeラーニングやテストの運営・受託事業、語学力調査受託などを行っています。
エデュケーションテックと言われるような事業を行なっています。
経営陣
戦略コンサルティングだとマッキンゼーの方、外資系金融だとゴールドマンサックス、シティーグループ、リーマンブラザーズ、バークレイズ、というそうそうたる面子が揃っています。
業績
業績を通期で見てみると、2021年9月期は予想値となりますが、売上高は前期プラス45%で120億円、営業利益はプラス17%で22億円最終利益もプラス11%で12億5000万円ということで増収増益を見込んでいます。
3ヶ月毎の推移を見ますと、売上は前年同期比プラス38%と直近は伸びていますがそれ以外は前年同期比ではマイナス50%前後と大きく下がっています。
ACSL(自律制御システム研究所)
事業内容
産業用ドローンを展開していて、この会社は製造、販売をしていいるのでメーカーでもあるという点がユニークな立場と思います。
産業用ドローンがカバーできる領域がすごい広いと考えており、今目指しているレベル4で対象となる市場規模はでかいと考えられます。
経営陣
創業者の方も含めて、マッキンゼー出身の方が3名もいます。現在の社長もマッキンゼー出身です。あと外国人の方でボーイング(航空機メーカー)出身の方がいます。
珍しいのがプライベートエクイティファンドの世界的な先駆けであるKKR出身のCFOがいます。
業績
法規制を含めて、環境これからということもあって業績自体はばらつきがあります。
将来性はあると思いますが、足元だけを見ると今年12月期の予想でも売上はまだ3億5000万しか見込んでないのと、営業利益もマイナス10億円です。
これだけみると資金的にゆとりが無いんじゃないかと思うかもしれませんが、資金調達はうまくやっております。
今だと日本郵政が筆頭株主になって第三者割当増資をしたということがあります。ゆうパックとか物流業務が連携できれば面白いと思います。
HENNGE
事業内容
HENNGE Oneという企業がいろんなサービスを使う際にID、パスワードを一元管理するためのSaaSビジネスをやっています。
このHENNGE Oneが売上が全体の9割をいめています。
経営陣
今の経営陣はプロフェッショナルファーム出身の方はいないのですが、2021年現在、マッキンゼーの日本代表を務めている岩谷さんという方が、HENNGEの共同同業者の一人です。
(今は完全に離れていて大株主の中にはいません)
業績
今年9月の予想値では売上はプラス16%の48億円、それ以外は前期比マイナスとなっていて、これを発表したとき株価は下がっています。
直近発表した1月から3月期に関しては、売上高プラス15%の11億6900万円、営業利益がマイナス2億2100万円ということでずっと黒字でしたが今回赤字になりました。
ただ、この赤字も悪い赤字ではなく、今後の成長のための先行投資が理由になっています。
ヤプリ
経営陣
上場して1年も経っていない会社です。
今の代表の方がシティグループ、CFOがクレディスイスの投資銀行部門出身です。
事業内容
プログラミング不要でスマートフォンアプリの開発をするアプリを運営、ノーコードでアプリを作れるという事業内容になります。
業績
今年12月期の予想としては売上高プラス34%の32億円、営業益が赤字幅拡大ということでマイナス9億1200万円、経常利益以降は予想を出していないです。
まだ成長フェーズということで、広告宣伝費を中心に先行投資をしている段階なので赤字が出てもやむおえないというスタンスになっています。
ENECHANGE
経営陣
CEOの方とCFOの方が外資系金融のJ.P.Morgan出身です。またホームページで公表していないので、現状がどうかわからないですが、プライベートエクイティファンドのフェニックスキャピタルという日本のファンド出身の方がいます。
事業内容
消費者向けに電力ガスの切り替えを行うエネチェンジなどの運営を行っています。
電力の比較サイトから事業はスタートしていますが、最近は法人向けのサービスが急拡大しております、かつ今世界的に脱酸素、再生エネルギー関係のトレンドがかなり来ているので、上場後の決算説明資料もそこの需要にうまく乗った説明ができています。
東証1部に上場している、レノバと同じように今後再生エネルギー関係の中心銘柄となっていく可能性高いと思われます。
業績
今年12月期の予想は売上高はプラス51%の26億円ということでかなり急成長しています。
営業益以下は情報は非確かですが、前年度の実績としては営業利益も経常利益も黒字になって生きています。
3ヶ月毎決算推移を見ても売上利益ともに直近は伸びています。
WACUL
経営陣
戦略コンサルティングでBCG出身の社長、カーニー出身のCFOの方、ゴールドマンサックス出身CFOの方がいる形になります。
事業内容
アクセス解析データの自動分析で行う「AIアナリスト・シリーズ」などを提供しています。デジタルマーケティングに関して、コンサルティングを行なっています。
業績
2022年2月期予想では売上高はプラス48.8%の10億5000万円、営業利益は前期比3.2倍の2億2900万円、売上高の規模としてはまだ年館でも10億なので、まだまだ小さいんですが10億円の売上高に対して利益が2億円以上入る見込みなので、高利益率な体質の企業体になっています。
3ヶ月決算で見ても、売上利益共に順調に伸びているというのが見て取れます。
ビジョナル
ビズリーチやハーモスを運営している人材会社で今年の4月に上場しましたが、現在時価総額1000億円を超えている、ユニコーン銘柄になってます。
経営陣
取締役から執行役員、社外取締役や監査役も含めて、かなり充実した方々が揃っています。
プロフェッショナルファームというよりは例えばリクルートとか事業会社で勢いのあるところで勤務された方が多いです。
プロフェッショナルファームでは人事の責任者の方がマッキンゼー出身の女性の方、外資系金融機関でモルガンスタンレー 出身の南代表取締役、またCFOの女性の方もモルガンスタンレー 出身です。
業績
ビジョナルの決算ですが、今季2021年7月の予想としては売上高は前期比プラス3.2%の267億円、営業利益はマイナス56%の9億6000万円、最終利益はマイナス91%の3億9000万円となっています。
かなり大きな会社なので売上の伸び率は低いですが、今ビズリーチに続く第2の事業を伸ばそうとしていることもあるので、費用がかさんで増収減益という状況になっています。
3月毎の推移でみると好調で、2020年2月から4月期、営業利益以降はもう通期の予想を超えてしまっているぐらい利益は出ています。残りの9ヶ月ではいかに先行投資をたくさんするかというのが見えてくると思います。
まとめ
下の表の色がついているところが100%以上であれば、現在の時価総額は上場事より高いということになります。
③(現在)÷①(公開時)
自律制御システム研究所以外は公開の時価総額よりは現在の方が高くなっています。特にエネチェンジに関しては661%と非常に高いです。当初は34億円ほどの小さな時価総額を想定していたものの現在228億円まで来ています。
③(現在)÷②(初値)
合わせて初値の時価総額と比べて現在が100%を超えているのが5社で残り3社が伸び悩んでいる状況です。
【要因】
まず初値が上がる要因に規模が小さい案件というのがあります。
また初値が出てから一定期間株価が伸び悩む銘柄も多くあります。
その要因の一つがVC比率(上々時にベンチャーキャピタルがどれだけ比率を持っているか)で、結構影響してきます。
VCの比率もずっと影響してくるわけでなく、上場したらVCは基本的に早めに全て売ってしまうことが多いです(一部の比率を継続保有することもあります)。
そうしたときに最近上場した会社は一気に売られる傾向があるので、初値と比べて現在の時価総額が伸び悩むのはしょうがないと思います。
現に例えばヤプリ、WACULは特に直近のVC比率が高かったので、一気に売られて株価が伸び悩んでいると思います。
一方で例えばロードスター、自律制御システム研究所はVC比率は高いですが、ロードスターに関してはVCというよりは中国のレンレンという会社、いわゆるテック企業なのでコーポレートベンチャーキャピタルといった傾向ですので純粋な投資というよりは事業面でのシナジーとかも含めてあると考えられているので、現在も数%保有したままで一気に売られ過ぎたりしていないです。
自律制御システム研究所も同様で43%とだいぶ高いVC比率がありましたが、楽天とかも上場時は12%ほど常時は持っていて現在は売り抜けている状況で現在はだいぶ期間が経っていることから成長率としては初値よりも高くなっています。
ビジョナルも20%VCを持っていて上場した初日にVCの中でも比率を持っていたジャフコが全て売ったということもあり、株価は初値をまだ超えてきていないという段階です。
ただし直近のVC比率が高かった銘柄も時間が経ち、業績がついてきていれば基本的に上がってきてもおかしくないです。これらの銘柄はこれまでの傾向を見ていくとしっかり伸ばしていける会社と思われます。
中長期保有が出来る方であれば今は逆に買い時と言えると思います。
今回は以上となります。
第1回目の投稿もあわせてご覧いただけるとありがたいです。