今回は、年初来&上場来高値銘柄の第3弾として、
マザーズ上場企業の「株式会社スマレジ」を特集いたします。
スマレジはここ1年間、上場来高値更新をずっと続けており、業績・株価ともに非常に好調な銘柄です。
このPOSシステムを扱っているスマレジが、なぜコロナ禍でここまで上昇しているか疑問に思い、調べたいということで投稿しました。
目次
- 株式会社スマレジは何故業績が好調なのか?
- 株式会社スマレジ 株価チャート
- 株式会社スマレジ 決算説明
- 競合他社比較
- IR情報
- 冒頭の疑問への回答
- 事業リスク
- 証券会社による格付けレーティング
- 中期経営計画
- YouTube動画のご紹介
株式会社スマレジは何故業績が好調なのか?
スマレジの主な事業内容はクラウドPOSレジ、スマレジで小売店舗、飲食点向けに、パソコン、ipadを使ったレジとして展開しています。
疑問
上場来高値をずっと更新している状況に対して、個人的な疑問が2つありました。
- コロナ禍であるのにも関わらず、なぜ同社の業績や株価が伸びているのか?
- AirREGI(エアレジ)等との競争が激しくないのか?
特に2については、AirREGI(エアレジ)というリクルートが展開している事業があり、経営リソースでは対抗しづらい相手です。
それ以外にも、多くの競合が同様のサービスを展開しており、
競争環境がどのようになっているのか?という疑問がありました。
株式会社スマレジ 株価チャート
2021年8月27日現在で終値は8,560円、時価総額は838億円です。
PERは200倍でIT業の中でもかなり高いと思います。
2019年の2月に上場して、その時の初値が約4,000円でした。
しばらく下落していったものの、2020年に入ってから徐々に右肩上がりの推移になっていきました。
最近は上昇幅が急拡大して、この1年は常に上場来高値を更新し続けている状況です。
株式会社スマレジ 決算説明
前提として、営業活動に関する同社からの説明では、2020年の第1回目の緊急事態宣言時は、商談機会がかなり急減したが、
2回目の宣言以降は影響がだいぶ減少しており、持ち直しているとのことです。
そうした状況を受けて、2021年4月期通期決算では、売上が33億円(前期比102.3%)と、かろうじてプラス成長しています。
営業利益・経常利益も8億4,000万円ほどで、前期比プラス12.6%成長率です。
四半期別の推移を見ると、売上高はこの3Q、4Qにかけて右肩上がりになっており、4Qで初めて10億円を超えました。
過去5年間の年間売上高、営業利益、営業利益率の推移をみると、すべて右肩上がりです。
5年間のCAGR(年平均成長率)も37.2%で、2019年2月に上場してから急拡大しています。
また利益率が上昇しており、直近では25.4%と、WEBサービスの企業の中でもかなり高いと思います。
今期の業績予想は、売上高40億円(前期比+20%成長)で、営業利益以降は減益となっています。
この減益は、販管費をこれまで以上に使うことが要因となっています。
特に、売上をより成長させることを狙い、セールス&マーケティング費用に重点的に投下するため、結果的に減益予想になる形です。
これはSaaS型の企業によくある手法です。
投資家としては、今期の減益も織り込んだ上で上場来高値となっているため、販管費を積み増すことにネガティブな反応はありません。
競合他社比較
競合プレーヤーとしては、スマレジのようなベンチャー企業から、大手企業の新規事業まで多数の企業がありますが、この3社が業界TOP3と言えます。
スマレジ | エアレジ | ユビレジ | |
登録店舗数 | 10万 | ー | 3万 |
有料店舗数 | 2万 | ー | ー |
MAU | 2.5万 | ー | ー |
アカウント数 | ー | 57.8万 | ー |
MAU(マンスリーアクティブユーザー)は、登録済ぬ店舗のうち、利用中の店舗がどのぐらいかという値です。
スマレジのMAUは25,000社なので、言い換えると75,000社は眠ってしまっている状態です。
登録店舗に対する稼働状況は今後も下がるかなという印象です。
スマレジの一番の競合はエアレジであるということは間違いないと思いますが、同社が公表しているのはアカウント数578,000のみであり、どこまでアクティブになっているか分からないです。
IR情報
スマレジは投資家に対してIR情報をかなり充実させています。
【スマレジ企業サイト】
https://corp.smaregi.jp/ir/
- 株主に対する説明
- 個人投資家に対する別の説明
- スマレジインサイドという株主通信
- IRニュースレターというメルマガ
マザーズ上昇企業の中でここまで充実させている会社は少ないと思います。
また、KPIの数字を毎月公表しており、企業の最新の状況がわかるのでありがたいです。
一般的に月次数値を発表するのは企業からすると勇気にいることかなと思います。
公表する以上は数字が伸びていることが投資家から求められますし、仮に数字が落ちてると、すぐ株価に影響するためです。
ある程度自信がないとできないことだと思います。
冒頭の疑問への回答
1.コロナ禍なのになぜ伸びているのか?
顧客への導入事例にその答えがあると思います。
スマレジのケーススタディ導入事例が、数多く記載されています。
【ケーススタディ】
https://smaregi.jp/casestudy/
単純にPOSレジとしての機能だけではない点が長けています。
仕入・在庫管理・決済・勤怠管理など、店舗業務にまつわる様々なものがスマレジのサービスで対応できるようになることは、非常に大きいです。
他にも機能としてセルフレジ、キャッシュレス等コロナ禍に対応してるサービスがあります。
従来のPOSに比べるとコロナ禍時代に合ったサービス展開があり、かつ価格も安いのでメリットは大きいと思います。
2.エアレジ等との競争は激しくないのか?
競争は激しいはずですが、それ以上に「クラウドPOS市場」の成長率の伸びがすごいため、
スマレジ含めて全体的に伸びています。
市場規模をみていきます。
まず、従来型のPOSの市場規模(2020年)は、前年度比78.4%13万台です。
2019年から一気に急落、それ以降も徐々に微減している状況です。
新型コロナウイルスが多くのユーザー企業の業績に影響が行くということが要因で、どんどん下がっていく市場となっています。
次に、こうした状況に対して、クラウドPOS世界市場は2021年~2027年予測が24%以上のCAGR(年平均成長率)で推移する、と予想されています。
要因としては、下記の点などをあげています。
・迅速対応が可能で柔軟性がある点
・自社や顧客の用件に応じていつでもサービスを追加また削除することができ、コストコントロールがしやすい点
・職場の生産性の向上に貢献できる点
世界市場の成長見立てと、スマレジの成長率を照らし合わせると、
24% vs 20%となっており、概ねその市場の伸びに近い形にはなっていると思います。
ということで、スマレジとしては、下記のポジションを取れていることから、業界でも1-2位に位置していることができると考えます。
・市場規模が拡大する業界にいる
・かつ、その中で唯一上場している企業
事業リスク
業績好調のスマレジですが、リスク面も是非抑えておきたいです。
有価証券報告書および決算説明資料を見ると、気になる事業リスクが大きく3点あります。
1.特定の仕入先への依存に関わるリスク
スマレジは、レジ周辺機器の卸販売もしており、売上全体の一定割合を占めております。
機器の仕入れについて特に、日本プリメックス株式会社からの割合が直近年度では35%なっています。
1社としてはそれなりに高い比率ですよね。
現時点でも、サプライヤーの生産体制の都合により供給数量に不安がある状態です。
販売数量の制限を受ける可能性があるということは、売上成長に対して大きめなリスクだと思います。
2.スマレジ4の開発に伴うリスク
今のところの開発は順調ですが、全体として数億円と大きな投資であり、仮に見込みより追加コストがかかる事象の発生や、
サードパーティー(ディベロッパー)APIを解放することによって障害、情報流出が起きたりすると、事業運営に影響を与える可能性があります。
3.他社との競合
こちらはどの業界でもあり得ることで、企業固有の話ではないですが、例えばマネーフォワード、freeeなどSaaSやクラウドで強力な企業が参入してくると、かなり影響を受けると思います。
証券会社による格付けレーティング
現状はクレディスイス、岩井コスモ、大和証券の3者がレーティングをつけています。
概ね中立です。
日付 | 証券会社 | レーティング | ターゲットプライス |
2021/8/3 | クレディスイス | Neutral継続 | 6,000→6,700円 |
2021/7/26 | 岩井コスモ | A→B+格下げ | 6,200→8,100円 |
2021/6/15 | 大和 | 2継続 | 5,900→6,700円 |
現状の株価8,560円に対して、ターゲットプライスはそれより低く見積もられています。
つまり、証券会社からすると「今の株価は上げすぎではないか」「PERが高すぎではないか」という見方がされている可能性はあると思います。
中期経営計画
スマレジは長期的なビジョン「VISION2031」で、アグレッシブな目標を掲げています。
具体的には、
- アクティブ店舗数
現在の2万4,000店→10年で10倍の30万店舗にする。
それにより、国内市場シェアは14%の国内トップを目指す。 - ARR倍増計画
現在の20億円→2024年4月期で50億円にする。
更なる広告宣伝費、 webマーケティング費用を投入して、アクティブ店舗数の増加、顧客単価の増加、決済収益の強化を狙っています。
今年度から既にマーケティング費用を積極投下していますので、今期の結果でこの先の伸びの方向性が見えてくると思います。
非常に大事な一年です。
最後になりますが、スマレジが行っている事業は、過去の従来型オンプレミス型をクラウドPOSにを一新することであり、
先陣を切るスマレジが、レジだけではなく周辺領域も含めて展開していっている点が非常に興味深いと思います。
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