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【要約】週刊東洋経済・全解明 半導体パニック 自動車vs.スマホ 争奪戦の深層

目次

  1. はじめに
  2. 自動車メーカーを襲う「半導体不足」4つの理由
  3. 独走するTSMCの正体
  4. ルネサスエレクトロニクス
  5. シリコンウエハーの状況
  6. 半導体銘柄の株式市場の概況
  7. 自動車業界の新たな用語「CASE」とは?
  8. 最後に~個人的見解
  9. youtube

はじめに

前回投稿した半導体の特集が非常に好評だったので、今回は前回と違った角度の記事を半導体の第二弾としてご紹介します。前回の投稿もあわせてご覧いただければと思います。

前回ブログ記事:
歴代最速の上場企業!? AI企業のグロース株・ニューラルポケット ビジネスモデル/決算解説 ~テンバガー候補を探そう!~

前回youtube:

前回は3C分析に基づいた内容でした、
今回は大きく以下3つの内容になります。

  1. 自動車業界に関して
  2. 台湾の超巨大企業TSMC
  3. 日本の会社ルネサスエレクトロニクス

 

自動車メーカーを襲う「半導体不足」4つの理由

半導体不足は自動車メーカーにとって大きな問題です、
というのも自動車には非常に多くの半導体が使用されています。
下記の画像を見たら分かりますが、ほぼ全てのパーツに半導体が使われています。

 

理由1 自動車市場はコロナ影響から回復へ

新車販売台数はコロナのタイミングで急落しましたが、そこから急速に回復してきています。

理由2 自動車の半導体搭載量が増加

一台あたりの金額ベースの半導体の量が10年後10倍に増加する見込みが立っています。

理由3 コロナ渦でIT業界の半導体需要が増加

自動車業界は産業界の王者なので、部品メーカーに対して強い要求を出していました。半導体メーカーも部品メーカーの一つで、その従っていましたが転機がありました。

コロナで自動車販売数が急減した時に、自動車メーカーの工場のラインを休ませていました。半導体メーカー的には「ラインが空いたので別のところに振り向けよう」ということになってIT業界に供給し始めました。

理由4 自動車を頂点とする産業の序列が変化

コロナ前は半導体メーカーが下請け

コロナ後、半導体が「下請け」から新王者に

車載向けの半導体は、機能的に昔からあるものというのと、自動車メーカーがコストカットをしてくるので、利益率が低いです。

一方IT業界向けの半導体は最先端のもので単価が高く、高収益ということで、業績のために、こちらが優先されてきています。

結果、自動車業界が優先されなくなってしまいました。

日本の自動車メーカーにも大打撃
−半導体半導体不足の自動車各社への影響−

半導体を作る上で、元々の材料から最終的に完成品のチップになるまで半年かかります。
また半導体業界は製品を完成させるまでのバリューチェーンがすごく長いので、供給の急拡大は難しいという背景もあり、このような自動車業界への影響になりました。

 

独走するTSMCの正体

TSMCは半導体を受託製造する会社です。

TSMCが急拡大している理由

製造を依頼する時に、各社の機密情報やコア情報が内容に入っていることから、例えばソニーがサムスン電子に依頼するとノウハウまで取られてしまうことになります。

なので独立系(半導体の受託製造しかしていない)のTSMCにそのような依頼が流れやすくなります。

ずっと台湾で生産していましたが、
最近日本、アメリカ、中国や、欧州の政府が台湾政府に増産してくれと、国を巻き込んだ要請がありました。

TSMCの凄い点

・TSMC売り上げの大部分がスマホ向けの半導体で、車載向けは3%くらいです。収益を考え単価の面、生産量の面で多い方に注力しています。

・半導体を受託製造する会社の中で最先端の5nm品を安定的に量産できる唯一の会社です。

 

ルネサスエレクトロニクス

ルネサス車依存から脱皮

 

巨額M&Aを繰り返す
−ルネサスの買収企業とその特徴−

それぞれの会社に数千億円もの資金を注ぎ込んでいます。こうした点から車載向けから脱していこうという姿勢が見えます。

 

シリコンウェハーの状況

半導体を作る、原材料です。
日本の信越化学工業SUMUCOが世界の1、2位のランキングいていて、
世界のシェアで数割をとっています。

このシリコンウェハーをが完成品の半導体にしていくまで、半年くらいかかるということもあり、
重要に対し供給が追いついてない状況です。

しかし実は信越化学工業もSUMUCOも更なる設備投資には消極的な状況です。
というのも過去に生産能力を増強して供給数を増やしたところ価格が大幅に下落した経験があるからです。設備投資を増やした結果自分たちの首を絞めてしまったということがあるので、今は非常に慎重になっています。

 

とはいえシリコンウェハーは競業が少なく寡占状況になっています。というのも大規模な設備投資が必要であり求められる品質が非常に厳しいからです。
品質に関して使われる言葉として、IT業界での基準に「スリーナイン」(99%、小数点が第3位まで高い品質)が使われますが、シリコンウェハーではそれどころか「イレブンナイン」という非常に高い基準をメーカーから求められます。

 

半導体銘柄の株式市場の概況

アメリカの半導体関連の銘柄を集めたフィラデルフィア半導体指数というのがありますが、このパフォーマンスが高い状況が下図から見て取れます。半導体の株が注目されているのは日本だけでなくてアメリカでも、同様の傾向になってきています。

 

日本の半導体関連メーカーで好決算をあげている企業が下の表になります。
今一番注目されているのはレーザーテックです。時価総額が2兆円くらいまで膨らんできています。
成長率も他社と比べて高いのが分かります。

【ルネサスエレクトロニクス】

ルネサスエレクトロニクスの営業利益の増加率が54%プラスとかなり高く、半導体を車載向けからIT業界へシフトしたこと、巨額M&Aが功を奏したのが分かります。

【スクリーンホールディングス】

スクリーンホールディングスはシリコンウェハーの洗浄する装置が世界首位をとっていて、今注目されています。営業利益の増加率が67%プラスと非常に伸びています。

【東京エレクトロン、アドバンテスト、disco、ローム】

昔からの大手も依然として強いです

コロナ渦でも好決算
−国内の注目企業−

 

自動車業界の新たな用語「CASE」とは?

C…Connected(コネクテッド)
A…Autonomous(自動運転)
S…Shared & Services(シェアリングとサービス)
E…Electric(電動化)

電気自動車EVをどの自動車メーカーも注力していく流れで、半導体業界に大きく影響を及ぼしてくると予想されます。

 

特に今、中国車メーカーがIT企業と組んで、EV参入が相次いでいる状況です。
中国車メーカーのうまいところは半導体の調達戦略で、もともと半導体メーカーとは付き合いがあり、使用する半導体も最先端のもので半導体メーカー的にも旨味がある提携になります。こうした関係を作ることにより、中国車メーカーは安定的に半導体を供給できます。

 

中国車メーカーとは別でアップルがEVに参入する話がありますが、アップルはiPhone等色々作っている関係で半導体業界からすると超お得意様で調達数もすごい量なので、そうした会社が参入してくると、自動車業界的に半導体の面からかなりインパクトがあるというふうに思います。

 

最後に~個人的見解

【自動車業界に関して】

自動車業界的にとって調達戦略が最重要な課題の一つになってくると思います。
調達ができないと、自動車の生産が減り、売り上げが減ってしまいます。

また実はこれまで自動車メーカーは調達先を絞ることで、価格交渉力を上げていたのですが、今後はリスク分散を考え調達先を広げるのが求められると思います。ただ一社あたりの買う量が減るため、値下げ要求がしづらくなります。
さらに半導体メーカーからすると自動車メーカーよりもIT業界の方が優先したい状況なので、自動車メーカーの交渉力の低下が進んでいく可能性があります。

これによって高い価格で半導体を仕入れなければならなくなり、原価率が上昇し、利益率が悪化します。

つまり調達が上手くいかないと、売り上げも減って利益率も悪化してしまいます。

さらに私たち消費者にも影響が出る部分があります。それは、自動車の生産量減少による販売価格の上昇です。メーカー的には採算を取るために価格を少しでも高くして利益率を良くするということが行われてくると思います。

【半導体業界の株式投資について】

中途半端にノリで投資するのは危険なのでやめたほうが賢明かと思います。

理由1:ボラティラティーが大きい

SUMUCOの業績変動からもみれるように、需要と供給が入り乱れている状況で、かつ競合も多いため非常に変動率が大きいです。

理由2:半導体の投資家のプロがたくさんいる

証券会社全て機関投資家として入っている名だたるプロが日本だけでなく、海外に山ほどいる中で、そうした人たちと、個人投資家が戦うのは難しいと思います。

理由3:把握するのが難しい

半導体業界は原材料から完成品までのバリューチェーンが長くて、いろんな会社が役割を住み分けて入っているので、全体の構造を把握するのが大変です。
かつ一社一社の会社が大きく、行っていることも複雑で、把握するのは時間がかかります。

以上の理由で、「半導体株上がってるからノリで良く調べず買っちゃおう」という考えは結構危険だと思います。
なので半導体の中でもどこかに特化して調べ上げて買うのがいいかと思います。例えば、半導体の検査装置関係に特化して3C分析をして、いい会社を見つけるというような方法が一番無駄がないと思います。

半導体業界は非常に奥が深いですが、今回の投稿が皆様の投資やビジネスモデルの理解の参考になれば幸いです。最後まで読んでいただき有り難うございました。

 

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